心療内科医笹田信五カウンセリングルーム
中高生による殺傷事件の深刻さ

 

 以前、13歳の中学生が、26歳の英語の女性教師をナイフで刺し殺したというショキングな事件がありました。

  また、同じく中学生が警官を刺してピストルを奪おうとしたという事件も起こりました。

  最近では、17才の高校生による残虐な殺人事件が起きています。これらに似た事件が多発しています。

  ある講演会で、年輩の方から「最近、若いお母さんが赤ちゃんを放置して餓死させましたが、どう考えたらよいのでしょう。若い方は生命の尊重という考えが薄れているのでしょうか」という質問を受けました。

  確かに子供達や若い母親の事件は、ショッキングです。根本の原因は何なのでしょうか。

  そこで、私が「人を殺して、どうしていけないのですか?」と聞き返しました。会場は一瞬キョトンなってしまいました。しかし、人を殺してはならない正確な理由は見あたりません。

 
人間の歴史を振り返ってみれば殺人の歴史です。特に、20世紀は大量殺人の時代でした。しかもアウシュビッツや原爆というむごたらしい虐殺で多くの人を殺しました。

 
この事実を見せつけられると「人間が人間を殺していけない理由」は希薄になります。
 
  事件が起こる度に、全校生徒を講堂に集めて、校長先生が「生命の尊さ」を説いていますが、同じ学校の歴史の時間では、
「人類の歴史は大量殺人の歴史であった」ことを教えているのではないですか。

  文部省がどんなに声を大にして道徳を説いても、子供達に対しては説得力はないのです。

  さまざまな対策が検討されていますが、一刻も早く「従来の発想ではどの対策も無意味ではないのか」という深刻さを理解することが必要です。

  問題の根本は、
「人を殺してはいけない理由」が明確に答えられない点にあるのですから。

  問われているのは、
「お父さん、お母さん、人生は本当に生きるに値するものですか? 生きている感動や喜びがありますか?」ということでしょう。

 
「あなたの人生の原点は何ですか?」「あなたは人間の価値を何で決めているのですか?」ということでしょう。

  私たちの日常の顔に、生きる楽しさ、希望がありますか。人間の価値を何で決めるのかについて明快に答えられますか。

  無いのなら、どうして子供達が、人生は楽しいもの、命は価値のあるものと思えるでしょうか。どうして子供達だけが、人間に感動できるのでしょうか。

  人間の子供は大人からすべてを学びます。子供は大人の鏡です。

  解決のためには、
私たち自身が、生かされてる医学の5つの発見を学び、「本当の自分」を生きる感動と喜びを得ることです。


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