心療内科医笹田信五カウンセリングルーム   

         
 娘の身体は悪くないのですか?
     
                                  
  電話の向こうからかなり高い調子の声が響いてきます。私の個人指導は予約制です。このような飛び込みは、忙しいときは閉口しますが、幸い今日は私も暇です。心配されているお母さんの気持ちも分かりますので、少しお力になろうと思います。

  「高校2年生の娘のことで相談したいのですが」

  「はい、どうぞ」

  「娘の顔や手や足がむくむのです。先生のされているファースティング(絶食療法)というのですか、それには効果があるでしょうか」

  「ちょっと待ってください。むくむ原因はたくさんあります。病院では診てもらいましたか」

  「勿論です。いろいろと調べてもらったのですが、異常がないということです」

  「 むくむ原因は、心臓、肝臓、腎臓の悪化から来ることが多いですが、それは大丈夫ということですね。それ以外にもまれな病気がありますが、そのようなものもないと言うことですね」

  「はい、何度も診てもらいましたが、悪いところはないと言われてます」

  「それなら、ファースティングも効果があるかもしれません。ただ、効果があるということの中身を理解してください。
  ファースティングは、生きてる喜びや感動を高めるものです。自分の素晴らしさに気づく体験です。このような精神的な効果を期待してすれば、いい結果が得られると思います」

  「どういうことですか。私は娘のむくみを治して欲しいのです。身体を元気にして欲しいのです」

  「しかし、身体は、病院で診てもらわれて異常がないのでしょう。身体は悪くないのでしょう」

  「え? 身体は悪くないのですか」

  「それは、お母さん、あなたが先ほどから言っておられることではないですか。
身体のどこが悪いのですか」

  「.....。では、娘のどこが悪いのですか」

  「そうです。どこが悪いのかが分からなければ、解決できませんね。たとえ、ファースティングで良くなっても、家に帰れば元の木阿弥になるかもしれませんね。
 身体が悪くないと言うことであれば、娘さんのむくみは、過労やストレスから来ているのかもしれません。過労やストレスがあるのではないですか」

  「ええ、過労になるようなことは何もしていませんが、ストレスはかなりあるようです。毎日が楽しくないようで、食べては寝て、食べては寝てと家でゴロゴロしています」

  「以前はどうでしたか」

  「以前は、楽しそうなときもありました。学校もクラブ活動も活発にしていました。そう言えば、そのときはむくみはありませんでしたね。最近でも、波がありまして、比較的楽しそうなときは、むくんでいないように思います」

  「だいぶ分かってきましたね。心と自律神経系や内分泌ホルモン系は一体になって動いていますので、
ストレスが強いときには、身体の代謝が悪くなります。また、ストレスを発散するために過食になります。この両方で体調が崩れ、むくむようになったのでしょう。そうすれば、解決法もお分かりいただけるのではないでしょうか」

  「生き生きと生きることですか」

  「そうです。その通りです。このように理解していただくのが心身医学的に理解すると言うことなのです。そうすれば、解決方法が見えてきます」

  「それでやっと先生の言われることが分かりました。娘には先生のファースティングが利きそうです。むしろ私が行きたいぐらいです。娘に勧めてみます」  

  「ただ、ファースティングだけでは、家に帰ってからまたもとに戻りますので、生かされてる医学を学ぶという気持ちでお越しください。ファースティングはあくまでも、生かされてる医学の方法の一つですから。

  それになによりも、お母さん自身がもっと勉強される必要がありますね。娘さんが生き生きと生きれない理由はお分かりでしょうか。お母さんの物の考え方から直さないといけないように思いますが・・・・。」

  「分かりました。ありがとうございました。機会を見て私も経験したいと思います」

  お母さんは簡単に「分かりました」と答えられましたが、そんなに簡単に言えるのは分かっていない証拠です。

  ただ、娘さんももう高校2年生です。十分自分で考えられる年です。ただ考えるだけでは、考えても考えても何もでてこないかもしれません。堂々巡りで時間が過ぎるだけでしょう。青春が終わってしまうでしょう。しかし、「生かされてる医学」があります。

  生き生きとできないのは、「物の時代」に対する違和感です。「物」のためには生きれないということです。それだけ「心の時代」の感性が強いということでしょう。もしそうなら、それは素晴らしいことです。

  生かされてる医学の5つの発見で、
「心の時代」の生き方学び、トレーニングをしていただければ、きっと「心の時代」の感性が成長し「本当の自分を生き、自分の山を登る生き方」が得られるでしょう。

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