(ボロぞうきんさんー過労死タイプ)



  この方はどういう人でしょうか。

  最初のところは「行け行け」さんに似ています。A(きびしい親)が高いから人の指導が出来る。しかし、B(優しい親)がさらに高いから、優しく、包容力があり、人がついてくる。さらにAも高いから同時にいくつもの仕事をてきぱきこなせる。

  ここまでは似ていますが、その次のD(自由気ままな子供)が極端に低い。つまり、自分のやりたいことや言いたいことを極端に抑える。いやなことでも我慢してする。そしてE(人の評価を気にする子供)が高いから、良い評価を得るために頑張る。大変良い人です。

  ただ、世間で良い人というのは、都合の良い人という意味合いがあります。確かに、こちらにとって、このような人は良い人には違いありません。ただ、本人は大変しんどくてつらい生き方です。

  どういう方に多いかと言うと、ナンバー・ツーや中間管理職の方に多いタイプです。縁の下の力持ちさんです。こういう方をナンバー・ツーに持つと非常にいいですね。仕事の面では大変有能で、しかも自分を押えてひたすらです。上司から評価されると喜んでますます頑張る。

  夫婦でも相手がこういう方だと大変やりやすいですね。このような人を奥さんにしますと、ご主人は外で思いっきり仕事ができます。最近では、このような人を旦那さんにしたいと思う女性も増えていることでしょう。


{自滅のシナリオ}


  「ボロぞうきんさん」は、若いときには、大変重宝がられ、評価も高いことでしょう。問題は、中年になったとき、つまり仕事の量が多くなったときです。「ボロぞうきんさん」は、仕事が誠実でしっかりなので、多くの仕事が集まってきます。

  限界になっていても、「ノー」とは言えません。「ノー」と言えば、評価が下がるので「ノー」とは言えません。仕事が増えていきます。

  しかし、仕事が増えれば目が届かなくなり、失敗が起こります。「ボロぞうきんさん」は良い評価を得ることで不安を解決している人ですから、不安が広がる。

  この不安の解消法は、仕事や親切をして評価を高めることですから、もっともっと仕事や親切をする。しかし、仕事の量が多くなれば、さらにミスが起こる。さらに不安になり、もっと仕事をしょうとする。さらにミスが起こる。

  不安になっているので、C(合理性)が働かず、客観的な判断が狂います。厳しく言うべきときも、嫌われて自分の立場がもっと悪くなるかもしれないと思うと言えなくなります。最も得意なB(優しい親)も、自分を守るための優しさになります。

  以前は、どんどん人のために仕事や親切ができた。人のために働くことが楽しかった、喜びであった。ところがこんどは自分を守るためにする仕事や親切です。喜びでなくて不安でしている、自分を守るためにする親切です。不安と焦りでつぶれそうです。

  相手は、押付けの親切のような気がして、息苦しく逃げたくなります。逃げられると仕事や親切がうまくいかないものだから、不安になってますます追いかける。執着する。

  するとますます相手は逃げていく。このような悪循環におちいります。こうして、ボロボロになって過労死で倒れるまで、仕事や親切をしつづけようとします。

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