(バラバラさん)


  この方はW型ですね。このタイプの方はA(きびしい親)が高いので、人を見ると欠点がよく見えイライラします。さらにE(人の評価を気にする子供)が高いので、人からどのような評価をされているか気になります。

  人をみてイライラし、その人から自分がどう思われたかを考えて不安になる。頭のなかがバラバラになります。それでこのタイプの方を「バラバラさん」といいます。

  外から見ると大変おとなしい人で、心の中で葛藤や分裂があるようにはとても見えません。特に、初めての場所や慣れない環境のときは、おとなしい、あまり発言しないという傾向は強くでます。

  だからといって、何をいっても、何をしても大丈夫だと勘違いすると大変です。我慢をしている人ですから、限界まで我慢をします。しかし、それを越えると今までの怒りや恨みが一挙に吹き出し、突然辞表や離婚届けがでてくるというようなことになります。

  あるいは、自分の家のように安心できる所では、わがままや激しい攻撃がでて、家と外では大違いということもあるでしょう。


{自滅のシナリオ}

  「バラバラさん」は非常に分かりにくいタイプですが、心の中を見れば理解も容易です。この方はE(不安さん)なのです。非常に自己防衛本能が発達しておりますから、充実感を失いますと「どうして自分を守れば良いのか?」と不安になります。

  不安に脅かされない方法は自分を出さないこと。自分を押えこむことです。つまり、D(自由気ままな子供)を押さえて生きることになります。 この点は、先程のボロぞうきんさんと似てるんですね。

  そこまでは似ていますが、メッセージを受けている部分が違います。「ボロぞうきんさん」はB(優しい親)にメッセージを受けています。「バラバラさん」はA(きびしい親)のところにメッセージを受けています。

  「ボロぞうきんさん」は、不安を解消するために、にせものとなったB(自分のための親切)と結合します。自分を守るために親切をしたり、一生懸命に仕事をします。社会適応の面からは、仕事の量が過剰になりミスが起こらない間は、信頼もされ良く適応できます。

  しかし、「バラバラさん」はA(きびしい親)にメッセージを受けています。「人を信じてはいけません。だまされますよ」、「後ろ指を指されてはいけませんよ」、そのようなメッセージを受けていることでしょう。A(きびしい親)がにせものになり、相手を攻撃します。

  「どうして自分に不利になるようなことを言ったり、したりするのか」と腹が立ちます。「こんなになったのは、あなたが悪いからだ。私の立場を考えていないからだ」と攻撃します。

  不安が強いから、人が何か言ったり、したりすることが自分に不利になるような感じが非常に強くするのです。自分を守るための鎧や兜であるプライドが傷つけられたように感じます。

  「もうすこし気を遣ってくれたらいいのに!」とか、「私が我慢していることは分かっているはずなのに!」とか、非常に腹が立ちます。

  このように、A(きびしい親)が高いのですが、厳しいことを言えば人間関係が悪化します。批判されるでしょう。それは、不安が増えることです。バラバラさんにとってそれは最も恐れていることですから、直接口にだして言うことはできません。

  心の中でどんなに腹が立っても、口には出せません。口に出して言えないから、ますます頭のなかでイライラし、腹が立つ。頭のなかで腹立ちと不安がグルグルと回ります。自己分裂し、エネルギーが極端に消耗します。これでは、社会適応はできません。

  疑ったり、警戒したり、怒りでいらいらしていては、人間関係がうまくいくはずはありません。協調性や社交性なければ、仕事は成功しません。社会で成功しなければ、どうして自分を守れるでしょうか? 不安を解決しょうとする方法が、自分を社会から孤立させます。

  そのうえ、D(自由気ままな子供)を極端に押さえています。つまりD(自由気ままな子供)を出すことは、我がままになるということですから、評価が下がります。

  これは、不安を増加させることですから、「バラバラさん」はD(自由気ままな子供)を押さえざるを得ません。これは、不快です。自分が抑圧されている。自分をこれ程までに犠牲にしている。この意識が悲しいまでの怒りになります。

  極端な場合は、最後にはC(合理性)が働かなくなり、今まで溜めていたものが一挙に爆発します。D(不満)がA(攻撃性)と結合します。「私も悪いが、あんただって悪いじゃないか」。

  あるいは、自分の家のように安心できるところでは、人から良い評価をもらう必要がありませんので、E(人の評価を気にする子供)が下がり、「あんたが悪いさん」になることもあるでしょう。外へでると不安がでるので、「バラバラさん」、家の中では「あんたが悪いさん」と二面性を持つこともあるでしょう。

  結局、バラバラさんは、自己防衛本能が非常に強く常に自分を守っています。それがプライドという砦です。そして、いつも攻撃されるのではという過剰防衛の状態にあります。戦闘準備状態にあります。E(不安さん)がA(きびしい親)に結合しているのが特徴です。そして、このストレスが過食・お酒・タバコの原因になります。

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