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タイトル顕微鏡が開いた世界
記事No10
投稿日: 2014/01/19(Sun) 17:12
投稿者sasada
最初の顕微鏡は、1590年頃に、オランダの眼鏡師ヤンセン親子によって発明されたと言われています。

その後、ロバート・フック(1653〜1703年)は、自作の顕微鏡で、さまざまな生物を観察して、生物が細胞でできていることを発見をしました。その観察記録を「顕微鏡図誌」として出版しましたが、この時代のレンズは収差が大きく精密なものではありませんでした。

細菌や動物の細胞を、最初に観察したのは、オランダの博物学者レーウェンフック(1632〜1723年)で、自分で組み立てた単純な顕微鏡でしたが、倍率が300倍近いものもあり、これで、赤血球がウサギの耳やカエルの足の水かきの毛細血管をとおって循環するようすを明らかなしました。

74年には、初めて赤血球を正確に記述しました。ついで、池の水、人の唾液の中で、彼が顕微鏡虫と呼んだ今日の原生動物や細菌を観察し、77年には、ヒトの精子を記述しました。しかし、彼は、レンズ作りの技術を他人に明かさなかったため、研究はそこで途絶えました。

精密なレンズは、数学者オイラー(1707〜83)などによって設計されるようになり、1800年代の半ばには、ドイツのツァイスの工場で高性能の顕微鏡が生産され、本格的な細菌学が発展するようになりました。

この高性能の顕微鏡を用いてフランスのパスツール(1822〜95)は、発酵や多くの感染症が細菌によって引き起こされること、また、ドイツのコッホ(1843〜1910)が炭疸病の原因は細菌であることなどを発見し、近代細菌学が始まりました。

これらの成果によって、細胞は細胞からしか発生しないことがようやく認知されました。それまでは、生命は自然に発生してくると信じられていたのです。

今日、このようなことを書いている理由は、何かと言いますと、「私達は、75兆個の細胞からできている」ということ、「生かされてるのは医学的事実」であるということは、この150年間に、人類が初めて知った事実だということです。

「生かされてる」という言葉は、古くから使われていますが、事実として証明されたことはありませんでした。

しかし、今、私達は、60兆個の細胞からできていることを事実として知っています。信じる信じないの問題では全くありません。「生かされてる」という言葉は、この150年間の膨大な科学的データーを土台として、初めて自立したのです。

これは素晴らしいことです。今、人類はやっと、事実に立って、生きることができるようになったのです。