生かされてる医学のカウンセリング(性格分析3)
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タイトル 性格は、Fと環境の相互作用の産物
投稿日: 2011/05/12(Thu) 00:40
投稿者sasada

  まず、性格という言葉で意味しているものを、明確にしておく必要があります。イヌやネコを見ても、一匹ずつ生まれたときから確かに性格が違います。ただ、この性格は、生まれたときに殆ど決定され、その後もそう大きく変化しません。

  一方、人間の場合は、大人になったときの性格に比べれば、赤ちゃんのときは殆ど白紙です。人間の場合、性格と呼んでいるものは、後天的に形成されていくものです。

  ですから、動物に見られるものは、性格と呼ぶよりも、気質と呼ぶのが適当でしょう。そして、この気質は何によってできるのかということです。

  生命体には、自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫系など、数え切れないほどのたくさんのシステムが、相互作用をしながら秩序だって働いています。たとえば、空腹になったときには、まず自律神経系が活動し、筋肉などに蓄えられていたグリコーゲンを分解してブドウ糖にします。

  精神的にも身体的にも、ストレスがかかると副腎皮質から糖質ホルモンが分泌され、ストレスに対抗する体勢にはいります。脱水状態になると、腎臓から血圧をあげるホルモンが出て、血液量が少なくても血圧を維持しようとします。

  このような生命を維持する生命維持システムは、数え切れないほど多数あり、それらがさまざまな相互作用をし絶妙のバランスをとりながら働いています。

  そのシステムや反応を決定しているのは、遺伝ですが、この遺伝に多少のばらつきがあります。大きなばらつきになると、高血圧や糖尿病の遺伝体質ということになりますし、さらにもっと大きな異変であれば、流産するか、生まれてきてもすぐに死亡します。

  この遺伝因子が、動物の気質も作り出しているものではないかと思います。身体の生命維持システムがきわめて順調な場合と、普通の場合と、もう一つうまくいかない場合では、生きる意欲や明るさに影響するでしょう。

  さらに、身体的なもので影響するのは体力でしょう。骨が太くて丈夫だとか、体格がきゃしゃだとかいう、集団生活を営む上での優劣です。丈夫な仔は、弱い仔を押しのけてお乳を吸ったり、餌をたべるでしょう。多少のことでは不安を感じないので心身相関も良いでしょう。弱い仔は、いつも不安を感じなければならないでしょう。

  この世に生まれてきてからだけではありません。まだ、お母さんのお腹の中にいるときから、すでに生命維持システムと体力に差があります。

  そして、これらが、F(自分)に影響します。動物にもF(自分)はあります。ただ、人間以外の動物では、F(自分)は本能の中に閉じこめられています。意識化されることなく、殆ど無意識のままです。

  この本能に閉じこめられて殆ど無意識のF(自分)が、遺伝によって決定された個体間にばらつきのある生命維持システムと体力の差のある身体を持ち、その身体で後天的な環境と相互作用します。これでできあがったもの気質ということでしょう。

  一方、人間の場合です。人間にも、生命維持システムと体力の差があります。生命維持システムが極めて良い子とそうでない子、丈夫な子供ときゃしゃな子供では、生命力や不安を感じる程度は明らかに違います。これが性格に大きな影響を及ぼすことは当然ですから、動物に見られる気質の差というものもある程度はあるでしょう。

  しかし、私達が人間の性格と呼んでいるものは、F(自分)の目覚めと成長を前提にしたものです。性格が、形成されるのは、F(自分)と環境との相互作用によってです。F(自分)が無意識のままでは、性格は発生しません。気質のままです。

  動物と人間の最大の差は、このF(自分)の差です。動物のF(自分)は殆ど本能に押さえ込まれ、閉じこめられたままで生育しません。人間のみが、本能からの自由を得、F(自分)が芽生え成長し、自覚できる能力を与えられたのです。

  私達の性格は、この目覚めたF(自分)と環境、つまり家庭や社会との相互作用によって発生するものです。その時代の教育の影響やさまざまな体験によって生育するものです。気質の影響も確かにあるのですが、気質も人間のめざめたF(自分)にとっては、環境の一つです。ということで、性格は、遺伝で決まるものではありません。

  次に、「過去の性格は遺伝されるか?」ということですが、F(自分)と環境との相互作用でできあがった性格は、脳の神経細胞に保存されます。

  ですから、脳の神経細胞が死ぬときには、保存された性格も消滅します。つまり、過去の性格が遺伝することはありません。


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